運用商品としての外貨建て生命保険のおすすめ度は?

運用商品としての外貨建て生命保険のおすすめ度は?

運用商品の1つとして外貨建て生命保険をすすめられている方もいらっしゃると思いますが、運用商品として考えた場合の外貨建て生命保険は検討に値するのでしょうか?

今回は、外貨預金と外貨建て生命保険を比較して運用商品として、どのような違いがあるのかや、どのような点が優れているのか、劣っているのかを解説したいと思います。

外貨建て生命保険とは?

保険料がアメリカドル(米ドル)やオーストラリアドル(豪ドル)などの外貨で運用される生命保険です。終身保険や養老保険、個人年金保険など貯蓄性のある商品が販売されています。
参考:外貨建て生命保険のメリット・デメリット


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目次

1.為替リスク

外貨建て生命保険には、為替リスクがあります。為替相場の変動により支払う保険料や受け取る保険金、解約返戻金の円換算額が変わります。

一方、外貨預金にも同様に為替リスクがあります。為替が円高に振れた場合、どちらも元本割れのリスクがあります。

為替リスクとは?

為替変動のリスクとは、為替相場の変動の影響により、外貨建て資産の価値が変動する可能性のことをいいます。

例えば、1ドル100円の時に1万ドル(1万ドル×100円=100万円)を購入した場合、為替相場の変動により、下記のような影響を受けます。

①1ドル90円になった場合
100万円-90万円(1万ドル×90円)=10万円の損失

②1ドル110円になった場合
110万円(1万ドル×110円)-100万円=100万円の利益

 

 

2.為替手数料

外貨建て生命保険は、保険料を円で支払う場合、円から外貨に交換するための為替手数料が必要となります。また、保険金や解約返戻金等を円で受け取る場合も外貨から円に交換するための為替手数料が必要です。

この円と外貨を交換する際の手数料は外貨預金でも発生します。では、外貨預金と外貨建て生命保険では、交換手数料はどの程度違うのでしょうか?

為替手数料は生命保険会社各社で違いがあります。安いところで、片道0.01円/1米ドルです。0.5円/1米ドルという保険会社もあります。1米ドルあたり1銭~50銭の為替手数料が必要です。

為替手数料が1銭や50銭と聞くと大したことがないように思えますが、金額が1万ドルなどの単位になるとバカになりません。

為替手数料は保険料支払時のみだけの片道ではなく、保険金や解約返戻金を受け取った時にも必要となる点に注意が必要です。

例えば、10万ドルの保険金を受け取った場合、日本円に交換する際に5万円(為替手数料が0.5円/1米ドルの場合)もの為替手数料が発生します。

外貨預金の場合にも取り扱いの金融機関である銀行によって異なりますが、為替手数料は片道0.04円~1円/1米ドル程度です。

為替手数料については、外貨預金の方が高いことが分かります。

 

 

3.外貨ベースでの元本割れリスク

外貨建て生命保険の場合、外貨ベースでも元本割れの可能性があります。生命保険ですので、保険料の一部は、保険契約の締結・維持・保障などに必要な費用として差し引かれます。

よって、早期解約の場合には、解約返戻金が払込保険料累計を割り込む元本割れを起こす可能性が高くなります。

≪契約例≫
商品:米ドル建て終身保険
被保険者:男性35歳
保険金額:50万米ドル
払込期間:60歳払済
保険料月額:861米ドル
年度 保険料累計 解約返戻金 解約返戻率
1 10,332 950 9.19%
5 51,660 38,800 75.10%
10 103,320 91,250 88.31%
15 154,980 145,850 94.10%
20 206,640 207,200 100.27%
25 258,300 276,750 107.14%

単位:米ドル

 

上記契約例の場合、20年を経過するまでは、解約返戻金が保険料累計を割り込み続けます。つまり、契約後20年目までは、外貨ベースでも元本割れする状態が続くわけです。

外貨預金の場合には、外貨ベースで元本割れするリスクはありません。

生命保険は、早期解約時には大きく元本割れする可能性があります。よって、必要な時に資金を引き出しにくい可能性があるので、換金性という観点では、外貨預金に比べて劣ります。

私が外貨建ての生命保険を運用商品として強くおすすめしない理由がここにあります。

 

 

4.予定利率と金利

生命保険各社の外貨建て生命保険の予定利率は3%程度です。一方、外貨預金は、高いところでも1年定期で1%程度です。

これだけ見ると、外貨建て生命保険の方が良さそうですが、実際には、保険料から諸経費を差し引いた残りの積立金に予定利率が適用されます。

外貨預金の金利のように預けたお金全てに金利が適用されるわけではありません。予定利率と金利は異なりますので、注意が必要です。
参考:なぜ、予定利率が下がると生命保険の保険料は上がるのか?

 

 

5.保障機能

外貨建て生命保険には、被保険者が死亡した場合や高度障害状態になった場合の保障があります。積立をしながら保障も得られるという点は、生命保険の大きなメリットの1つです。

外貨預金にはない機能です。

 

 

まとめ

外貨建て生命保険は、貯蓄性はありますが、運用が主目的の商品ではありません。よって、運用という観点で考えると、他の商品に軍配が上がります。

特に生命保険は早期解約時には解約返戻金が払込保険料を下回る点には注意が必要です。

外貨での運用という観点では流動性を考えて、FX(外国為替証拠金取引)や外貨預金などの方が向いています。

外貨建て生命保険の場合、保障+貯蓄性があり、場合によっては為替差益も得られる可能性がある程度で考えて頂ければと思います。

保障や相続対策を目的として貯蓄性のある生命保険への加入を検討されるのであれば、予定利率の低い円建ての生命保険に比べて外貨建て生命保険の方が保険料は安く、貯蓄性も高くなっていますので、比較されるといいでしょう。

為替のリスクを許容できるのであれば、外貨建て生命保険も選択肢の1つとなります。

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