自筆の遺言は無効になる可能性が高い?

自筆の遺言は無効になる可能性が高い?

遺言は残しておいた方がよいと聞くことが多いと思いますが、実際にはどのような形式で残すべきなのでしょうか?

遺言にはいくつかの形式がありますが、書き方を誤ると、せっかく書いた遺言が無効になってしまう可能性があります。

遺言の種類についてと、遺言が無効にならならいためのポイントについて解説します。


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目次

1.遺言とは?

遺言(ゆいごん・いごん)とは、財産の分割方法などについて、遺言者の考えを書面に残したものです。遺言は15歳以上でかつ意思能力があれば、だれでも作成することができます。

法律上の意味を持つ遺言事項(法定遺言事項)は、民法で定められていて、相続財産の分割方法、相続人の廃除、子供の認知などです。法定遺言事項以外の事を遺言に書いても遺言自体が無効になることはありませんが、法的な効力は発生しません。

尚、遺言には一定の方式があり、その方式を守っていなければ無効になってしまいます。例えば、遺言は書面に残す必要があるので、音声や動画で遺言を残したとしても、法律上は無効となってしまいます。

 

2.遺言の種類

代表的な遺言には、『自筆証書遺言』、『公正証書遺言』、『秘密証書遺言』があります。それぞれの特徴について簡単に解説します。

 

2-1.自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者本人が遺言の全文、日付、氏名を自書し、押印して作成する遺言です。費用がかからない、最も簡単な遺言方式です。

しかし、遺言の全文を自筆で書く必要があり、パソコンなどで作成した場合には、無効になってしまうなど、不備となるケースが多くなる可能性があります。

また、開封時には家庭裁判所での検認が必要になるなどのデメリットがあります。

遺言書の検認(けんにん)とは?
検認とは、相続人に対して遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、検認の日現在における遺言書の内容を明確にすることにより、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

遺言内容の有効・無効を判断する手続ではありません。また、検認を受けなかったからといって遺言が無効になるわけではありません。

 

2-2.公正証書遺言

遺言者が公証役場で公証人に遺言内容を伝え、公証人がその内容を遺言書にする方式です。専門家が作成するので、遺言が無効になる可能性は、ほぼありません。また、自筆証書遺言では必要な開封時の家庭裁判所での検認が必要ありません。

ただし、遺言書の作成には費用(相続財産の額によって異なる)がかかります。

 

2-3.秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言内容を秘密にしたい場合に活用する方式です。遺言者が公証役場に作成した遺言書を持っていきます。公証人は遺言の内容を確認しませんが、遺言書の存在を明確にできる方式です。

それぞれの遺言のメリット、デメリットは下表の通りです。

遺言の種類 メリット デメリット
自筆証書遺言 ・作成が簡単で費用がかからない
・遺言を作成した事実や内容を秘密
 にしておける
・形式の不備により無効になる可能性
 がある
・紛失、改ざんの可能性がある
・開封時に家庭裁判所の検認手続
が必要
公正証書遺言 ・形式不備により無効になるおそれ
 がない
・原本は公証役場に保管されるため、
 紛失や改ざんの可能性がない
・家庭裁判所の検認手続が不要
・作成費用がかかる
・証人2人以上の立会いが必要
秘密証書遺言 ・遺言の内容を誰にも知られない
・遺言書を自書する必要がない
・作成費用(公証人手数料)がかかる
・形式の不備により無効になる可能性
 がある
・家庭裁判所の検認手続が必要

 

3.自筆で遺言を書く場合の問題点

自筆証書遺言は費用がかからず、遺言者が自ら作成できる手軽さがありますが、おすすめできません。その理由は下記の通りです。

 

3-1.無効になる可能性

遺言は、一定の形式を守って作成する必要があるため、専門家に相談せずに作成した遺言は無効になってしまう可能性があります。

例えば、自筆証書遺言の内容をパソコンで作成した、日付が抜けているなど、形式の不備によって、せっかく作成した遺言も無効になってしいます。

 

3-2.紛失や発見されない可能性

自筆証書遺言のメリットの1つに遺言書の作成やその内容を秘密にできるという点がありますが、逆に遺言の存在自体に気付かれない、発見されない可能性もあります。

 

4.遺言は公正証書遺言がおすすめ

確実に遺言者の意思を伝えるためには、専門家のもと公正証書遺言を作成することをおすすめします。形式の不備により遺言が無効になることありませんので、確実に遺言者の意思を相続人に伝えることができます。

 

5.自筆で書く場合には、生命保険もセットで

どうしても自筆で遺言を書くという場合には、生命保険への加入をおすすめします。生命保険の死亡保険金は、受取人固有の財産とされていて、遺産分割対象の財産ではありません。よって、保険金受取人に指定した方に確実に保険金を渡すことができます。遺言と同様の効果が期待できます。

仮に自筆の遺言が無効になってしまった場合でも、死亡保険金分の財産を受取人に渡すことができます。
参考:生命保険加入のメリットとは?

 

まとめ

『自筆証書遺言』、『公正証書遺言』、『秘密証書遺言』それぞれに一長一短あります。しかし、遺言者の意思を確実に伝えるためには、公正証書遺言が一番でしょう。どうしても自筆の遺言書にこだわる場合には、生命保険への加入もご検討下さい。

  • どのような保険を選んだらいいのかわからない
  • 今、加入している生命保険が、どのような保障内容になっているか確認してもらいたい
  • 見直し方をアドバイスして欲しいが、誰に相談していいか分からない など

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