逓増定期保険とは?|特徴やメリット・デメリット

逓増定期保険とは?|特徴やメリット・デメリット

法人税対策として活用される法人保険の1つである逓増定期保険をご存知でしょうか?

法人税対策として活用される逓増定期保険ですが、しっかりと特徴を理解したうえで加入しないと、思ったような効果が得られない可能性があります。

今回は、逓増定期保険を活用する場合に注意すべき特徴や、メリット・デメリットについて解説します。


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1.逓増定期保険(読み方:ていぞうていきほけん)とは?

逓増定期保険(読み方:ていぞうていきほけん)とは、保険料は一定で、保険金額(保障額)が契約当初の5倍までの範囲で増加する商品です。

定期保険の一種で、被保険者(保障の対象者)が死亡または、高度障害状態になったときに保険金が受け取れます。
参考:定期保険の種類|それぞれの特徴や選び方とは?
逓増定期保険のイメージ図

法人を契約者、経営者や役員を被保険者(保障の対象者)として活用されることが多い商品です。死亡保険金を経営者や役員の死亡退職金弔慰金事業承継対策資金として活用できます。

なお、一定の要件を満たすと、法人の支払った保険料の一部を損金扱いできます。

 

 

2.逓増定期保険は、解約返戻金が受け取れる?

一般的に定期保険は掛け捨てで、保険期間の途中で解約しても、解約返戻金が全くないか、あってもごくわずかです。また、満期保険金もありません。

しかし、逓増定期保険は保険期間の途中で解約した場合、所定の解約返戻金が受け取れます。つまり、逓増定期保険には資産性があり、経営者や役員などの勇退退職金の準備にも活用できます。

なお、逓増定期保険にも満期保険金はありません。

 

 

4.逓増定期保険の保険料の経理処理(仕訳)

法人契約の逓増定期保険は、下表の区分に応じて保険料の経理処理(仕訳)を行います。

損金タイプ 区分
① 全額損金タイプ 保険期間満了時の被保険者の年齢が45歳以下のもの
② 1/2損金タイプ 保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超えるもの(③又は④に該当するものを除く。)
③ 1/3損金タイプ 保険期間満了の時における被保険者の年齢が70歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が95を超えるもの(④に該当するものを除く。)
④ 1/4損金タイプ 保険期間満了の時における被保険者の年齢が80歳を超え、かつ、当該保険に加入した時における被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が120を超えるもの

参照:法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて(国税庁)

 

4-1.全額損金タイプの経理処理(仕訳)

支払保険料の全額を期間にかかわらず損金算入します。

例)年間保険料100万円を支払った場合の経理処理(仕訳)

貸方 借方
定期保険料     100万円 現金・預金     100万円

 

4-2.1/2損金タイプ、1/3損金タイプ、1/4損金タイプの経理処理(仕訳)

1/2損金タイプ、1/3損金タイプ、1/4損金タイプの保険料の経理処理(仕訳)は、下記の通りです。

 

4-2-1.保険期間の当初6割相当期間

保険期間の当初6割相当の期間は、支払保険料のそれぞれ1/2、1/3、1/4を定期保険料とし損金算入し、残りを前払保険料として資産計上します。

例)年間保険料100万円を支払った場合の経理処理(1/2損金タイプ)

貸方 借方
定期保険料     50万円
前払保険料     50万円
現金・預金     100万円

 

4-2-2.保険期間の残り4割相当期間

保険期間の残り4割相当の期間は、支払保険料の全額を定期保険料として損金算入するとともに、保険期間の当初に資産計上した前払保険料の累計額を残り4割相当期間で均等に取りくずして、定期保険料として損金に算入します。

 

 

5.逓増定期保険に加入すると節税対策になる?

逓増定期保険に加入すると、法人の節税対策になるといわれますが、正確には節税ではなく課税の繰り延べです。

保険料支払時には、保険料の一部を損金算入できますが、解約返戻金受取時の経理処理は下記の通り、解約返戻金から資産計上していた前払保険料を差し引いたものが、雑収入となり法人税の課税対象となります。

例)前払保険料500万円、解約返戻金900万円を受け取った場合の経理処理

貸方 借方
現金・預金     900万円 前払保険料     500万円
雑収入       400万円

逓増定期保険に加入したからといって節税対策になるわけではなく、解約時に雑収入と同額以上の損金がないと最終的に課税されてしまいます。

つまり、逓増定期保険の解約返戻金を受け取った際に経営者や役員の勇退退職金などの使い道がなければ、最終的に「解約返戻金-前払保険料」が雑収入となり、解約時に課税が繰り延べられただけという結果になります。

 

 

6.逓増定期保険のメリット・デメリット

法人契約で逓増定期保険を活用するメリット・デメリットは下記の通りです。

 

メリット1:保険料の一部が損金算入でき、法人税の軽減が可能

逓増定期保険の保険料の経理処理部分で解説した通り、保険料の一部を損金算入することが可能で、法人税の軽減になります。

ただし、これは節税ではなく、課税の繰り延べという点に注意が必要です。受け取る解約返戻金を経営者や役員の退職金として活用するなどの出口対策がなければ、解約時に「解約返戻金-前払保険料」が益金となり、課税されてしまいます。

 

メリット2:逓増定期保険には資産性があり、解約返戻金が受け取れる

逓増定期保険は定期保険の一種ですが、資産性があり、解約返戻率のピーク時に解約すると支払った保険料相当額の解約返戻金が受け取れます。保険料の一部を経費化しながら、簿外での資産形成が可能となります。

途中解約時に法人が受け取る解約返戻金は、経営者や役員の生存退職金だけでなく、緊急時の事業資金として活用することも可能です。

また、解約返戻金の一定範囲内までの契約者貸付を受けることもできます。

契約者貸付とは?

契約者貸付とは、契約している生命保険の解約返戻金の一定範囲内で、保険会社から貸し付けを受けることができる制度です。

契約者貸付を利用する際には、下記のような注意点があります。

  • 貸付金には所定の利息(複利)が付く
  • 貸付金が未返済のまま元利合計額が解約返戻金を上回った場合、契約が失効する
  • 貸付金が未返済のまま満期を迎えたり、被保険者が死亡した場合、それぞれ満期保険金・死亡保険金から、その元金と利息が差し引かれる

 

メリット3:法人から個人への名義変更が可能

逓増定期保険の契約者を法人から個人に名義変更することが可能です。経営者の退職時に逓増定期保険の契約者を「法人」から「経営者個人」に変更し、保険を退職金の一部として現物支給することができます。健康状態に問題があり、個人で生命保険に加入できない場合などに活用できる方法です。

逓増定期保険は保険料の払込を中止し、解約返戻金をもとに払済終身保険に変更することができますので、保険料不要の一生涯の保障を経営者や役員に退職金の一部として現物支給することができます。
参考:生命保険の見直し時に活用できる解約以外の4つの方法
逓増定期保険を払済終身保険に変更したイメージ図

 

デメリット1:早期解約はデメリット大

逓増定期保険は、早期に解約すると、解約返戻金をごくわずかしか受け取れない可能性があります。つまり、大きく元本割れすることになり、大きな損失が発生します。特に一定期間内の解約返戻金を低く抑えた低解約返戻金型の逓増定期保険の場合には、早期解約に注意が必要です。

生命保険の保険料は、毎年(毎月)支払い続ける必要がありますので、ムリのない範囲で保険料を設定する必要があります。今期は利益が出たからと、過大な保険料を設定してしまうと、翌期以降の保険料支払いが困難になり、途中解約を余儀なくされることもあり得ます。

 

デメリット2:明確な出口対策(ピーク時の対策)が必要

逓増定期保険は、保険期間の途中で解約すると解約返戻金が受け取れますが、解約返戻金は一定期間を経過すると、減少していきます。

一般的に解約返戻金の返戻率が一番高くなるピークは5~10年目で、その後は返戻率が落ちていきます。逓増定期保険に満期保険金はありませんので、最終的に解約返戻金はなくなってしまいます。

解約返戻率のピーク時に出口対策として、経営者や役員の退職金などの使い道を準備しておかないと、「解約返戻金-前払保険料」が課税対象となります。

つまり、返戻率のピーク時に解約返戻金の使い道がないと、返戻率が下がってから解約するか、解約して課税されるかのどちらかになってしまいます。

また、逓増定期保険は、ピークを過ぎると解約返戻金の減り方が早いので、予定していた経営者の退職時期がズレたりした場合の柔軟性に問題があります。

 

 

まとめ

逓増定期保険の特徴やメリット・デメリットをご理解いただけたでしょうか?

上記の通り、逓増定期保険は、個人で活用されることはほとんどなく、主に法人で活用される商品です。逓増定期保険は、明確な出口戦略が必要などの特徴を理解したうえで、ご活用頂ければと思います。

また、逓増定期保険の返戻率のピーク管理には注意が必要です。生命保険会社から「今年が返戻率のピークですよ」というような案内は一切ありません。よって、返戻率のピークを管理しておかないと、気付いたらピークを大きく過ぎていたということも発生し得ます。

  • どのような保険を選んだらいいのかわからない
  • 今、加入している生命保険が、どのような保障内容になっているか確認してもらいたい
  • 見直し方をアドバイスして欲しいが、誰に相談していいか分からない など

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