国民年金基金の掛金をシミュレーション|最低いくらから?いつまで払う?

国民年金基金の掛金をシミュレーション|最低いくらから?いつまで払う?

第1号被保険者が65歳から受け取れる老齢基礎年金は満額で月額約6.5万円夫婦2人でも満額で月額約13万円です。

老後資金の不足を補うために国民年金基金の加入を検討している方もいらっしゃるでしょう。

 

しかし、「国民年金基金は最低いくらから加入できるのか?」や「掛金をいつまで支払う必要があるのか?」などの不安もお持ちではないでしょうか。

そこで今回は、国民年金基金の加入を検討している方が掛金に対して感じる下記ポイントについて解説します。

  • 国民年金基金の掛金の最低額は?
  • 掛金はいつまで支払う必要がある?
  • 掛金は減額できる?
  • 掛金の支払いを停止できる?


Advertisement

目次

国民年金基金とは?

まずは、簡単に国民年金基金制度について解説します。

会社員等の給与所得者の公的年金には、厚生年金や厚生年金基金があり、3階建ての制度になっています。

一方、自営業者などの第1号被保険者の場合、国民年金のみだと1階建ての制度

 

そこで、会社員等の給与所得者との年金額差を解消するために国民年金基金制度が平成3年4月に創設され、国民年金と国民年金基金制度を合わせて2階建ての制度になりました。

国民年金基金は、国民年金法の規定に基づく公的な年金です。

国民年金基金制度は、国民年金(老齢基礎年金)とセットで、自営業者など第1号被保険者の老後の所得保障的な役割を担う制度です

なお、国民年金基金の加入条件や加入資格については、下記記事をご参照ください。

【国民年金基金】加入の条件や資格を解説|加入できる年齢は何歳から何歳まで?

また、国民年金基金への加入のメリット・デメリットについては、下記記事で詳細に解説しています。

国民年金基金は入るべきか?3つのメリットと4つのデメリットを解説

 

 

国民年金基金の掛金は、最低いくらから?いつまで払う?【シミュレーション】

掛金月額は、選択した給付の型、加入口数、加入時の年齢、性別によって決まり、1口から加入可能です。

上記の通り、国民年金基金は口数制なので、iDeCo(イデコ)のように月5,000円から加入できるというような加入できる最低金額は決まっていません。

1口目は、A型(保証期間付き終身年金)または、B型(保証期間なし終身年金)のどちらかへの加入と決まっています。

 

終身年金とは?

終身年金とは、年金受取人が生きている間、一生涯受け取ることができるタイプの年金。

年金受取人が亡くなると、年金の支払いはストップします。

なお、年金には「確定年金」「有期年金」「終身年金」の3種類があります。詳細については、下記記事をご参照ください。
参考:「確定年金」「終身年金」「有期年金」の違いとは?

 

なお、主な年齢別の1口目掛金は、下表の通り。

【1口目の年齢別・掛金表(男性)】

年齢・性別 月額掛金 年金月額
A型 B型

30歳・男性

10,740円 9,650円 2万円
35歳・男性 10,140円 9,135円 1.5万円
45歳・男性 12,550円 11,380円 1万円

 

【1口目の年齢別・掛金表(女性)】

年齢・性別 月額掛金 年金月額
A型 B型

30歳・女性

12,500円 12,010円 2万円
35歳・女性 11,790円 11,340円 1.5万円
45歳・女性 14,600円 14,080円 1万円

 

掛金の上限はiDeCo(イデコ)と合わせて月額6万8,000円以内

掛金の上限は月額6万8,000円まで。

個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)にも加入している場合は、その掛金と合わせて6万8,000円以内です

 

2口目以降は何型を選ぶべき?

1口目は終身年金のA型またはB型から選ぶ必要がありますが、2口目以降は終身年金A型B型および確定年金Ⅰ型Ⅱ型Ⅲ型Ⅳ型Ⅴ型の7種類の中から加入者が選択することができます。

年金の種類 給付期間
終身年金 A型 65歳~終身(15年保証期間付)
B型 65歳~終身(保証期間なし)
確定年金 Ⅰ型 65~80歳(15年保証期間付)
Ⅱ型 65~75歳(10年保証期間付)
Ⅲ型 60~75歳(15年保証期間付)
Ⅳ型 60~70歳(10年保証期間付)
Ⅴ型 60~65歳(5年保証期間付)

 

では、2口目以降は7種類の型からどれを選ぶべきでしょうか?

国民年金基金の大きなメリットの1つに終身年金が準備できるというポイントがあります。

老齢基礎年金の月約6.5円しか終身年金がない第1号被保険者にとっては、終身年金を基金で上乗せできる点は大きな魅力の1つ。

よって、2口目以降も可能な限り、終身年金のA型かB型を選択する方がいいでしょう。

 

終身年金を選べば、確定年金に比べて受け取れる毎月の年金額は小さくなりますが、長生きすればするほど終身年金の方が受取額が大きくなります。

人生100年時代」には終身年金を選ぶ方が心強いのは間違いありません。

 

また、国民年金基金とiDeCo(イデコ)のどちらに加入するかを選べるわけですから、国民年金基金で確定年金を選択するくらいであれば、iDeCo(イデコ)に加入する方が受取額を増やせる可能性もありますし、インフレにも対応できるというメリットがあります。

インフレのリスクについては、下記記事をご参照ください。

インフレのリスクとは?|生命保険はインフレに弱い?

 

終身年金は「保証期間付き」にする?「保証期間なし」にする?

終身年金についてもA型・B型の2種類があり、どちらを選択すべきか悩む方も多いでしょう。

保証期間(15年)ありのA型の場合、加入者が年金を受け取り始めてすぐに亡くなったとしても残り期間分は家族へ支給されます。

例えば、加入者が年金をもらい始めて5年後に亡くなった場合、保証期間の残り10年分の年金が家族へ支給されるます。

 

しかし、保証期間がないB型の場合、加入者が年金を受け取り始めてすに亡くなってしまうと、家族への支給はなく、掛金は払い損。

保証期間がある分、A型の方が掛金は高くなります。

 

最終的にA型とB型のどちらを選ぶべきかは、年齢や性別によって異なりますので、下記の試算例を参考にして頂ければと思います。

 

男性・20歳0ヶ月の場合

A型加入の場合
1口目(A型):7,350円
2口目以降(A型):58,800円(16口)
月額掛金:66,150円
掛金総額:31,752,000円
年金額:2,226,924(15年保証期間付)
B型加入の場合
1口目(B型):6,590円
2口目以降(B型):59,310(18口)
月額掛金:65,900円
掛金総額:31,632,000円
年金額:2,474,360円(保証期間なし)

男性・20歳0ヶ月の場合、保証期間のあるA型に比べて保証期間のないB型の方が年金額が約24万円(月2万円)多くなります。

15年間での受取年金額の差は360万円。

なお、上記試算例で受け取る年金額が払込掛金の総額を超えるのは、A型が14.25年後、B型が12.78年後。

男性・20歳0ヶ月の試算例では、B型を検討する余地があるでしょう。

 

男性・35歳0ヶ月の場合

A型加入の場合
1口目(A型):12,870円
2口目以降(A型):51,480円(8口)
月額掛金:64,350円
掛金累計:19,305,000
年金額:1,200,000(15年保証期間付)
B型加入の場合
1口目(B型):11,580円
2口目以降(B型):52,110円(9口)
月額掛金:63,690円
掛金累計:19,107,000
年金額:1,320,000円(保証期間なし)

男性・35歳0ヶ月の場合、保証期間のあるA型に比べて保証期間のないB型の方が年金額が12万円(月1万円)多くなります。

15年間での受取年金額の差は180万円。

なお、上記試算例で受け取る年金額が払込掛金の総額を超えるのは、A型が16.08年後、B型が14.47年後。

男性・35歳0ヶ月の試算例では、微妙な差ですがB型を検討する余地があるでしょう。

 

女性・35歳0ヶ月の場合

A型加入の場合
1口目(A型):14,980円
2口目以降(A型):52,430円(7口)
月額掛金:67,410円
掛金累計:20,223,000円
年金額:1,080,000円(15年保証期間付)

B型加入の場合
1口目(B型):14,400円
2口目以降(B型):50,400円(7口)
月額掛金:64,800円
掛金累計:19,440,000円
年金額:1,080,000円(保証期間なし)

女性・35歳0ヶ月の場合、保証期間のあるA型と保証期間のないB型の年金額は同額です。

月額掛金は、A型の方が月2,610円高くなりますが、年金額が払込掛金の総額を超えるのは、A型が18.72年後、B型が18年後とほぼ同じ。

女性・35歳0ヶ月の試算例では、A型の方が保証期間がある分、お得感があります。

 

上記のように終身年金については、年齢と性別によってA型とB型の比較結果は異なりますので、ご自身の条件でシミュレーションしてみて、納得いくプランを選ぶ必要があります。

国民年金基金の掛金をシミュレーションしたい場合は、下記の国民年金基金の公式サイトをご活用ください。
年金額シミュレーション(国民年金基金公式サイト)

Advertisement

 

 

掛金の見直し(変更)は可能?

掛金は一度払い込むと、原則、年金受取時まで引き出すことはできないので、掛金額はムリのない範囲で設定することが重要。

しかし、加入期間が長期間となるため、途中で掛金の支払いが苦しくなることや、逆に余裕が出ることもあるでしょう。

そのような場合には、下記の通り、掛金額を変更することもできます。

 

掛金は減額できる?

2口目以降の加入口数を増やしたり(増口)減らしたり(減口)することができます

掛金の支払いが苦しい場合は、2口目を減らす(減口)ことで、掛金を減額することが可能。

ただし、掛金を前納している場合は、前納した期間に係る各月分の掛金の減口をすることはできません。

 

掛金を停止できる?

1口目は加入の基本となるので、1口目を減額して、掛金をゼロとすることはできません。

つまり、掛金を停止することはできず、1口目の掛金は払い続ける必要がある点には注意が必要です。

また、1口目の型を変更(A型⇒B型など)することはできません。

 

掛金の引き上げは可能?

2口目以降の加入口数を増やす(増口)ことが可能です。

しかし、掛金の上限は月額6万8,000円(個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)にも加入している場合は、その掛金と合わせて6万8,000円以内)となっています。

 

掛金の前納は可能?

4月から翌年3月までの1年分の掛金を前納することが可能で、0.1か月分の掛金が割引されます。

また、割引はありませんが、翌年3月までの一定期間分の掛金を一括して納付することもできます。

 

 

掛金は全額所得控除|節税額をシミュレーション

国民年金基金の掛金は、全額が所得控除の対象(社会保険料控除となり、所得税や住民税が軽減されます。

国民年金基金の掛金を月額68,000円支払った場合の所得税・住民税の節税額シミュレーション結果は、下表の通り。

課税所得 税率 節税額(年間)
所得税 住民税 月額掛金:68,000円
195万円以下 5% 10% 122,400円
195万円超~
330万円以下
10% 163,200円
330万円超~
695万円以下
20% 244,800円
695万円超~
900万円以下
23% 269,280円
900万円超~
1,800万円以下
33% 350,880円
1,800万円超~
4,000万円以下
40% 408,000円
4,000万円超 45% 448,800円

 

掛金が社会保険料控除の対象のため、配偶者や親族分の掛金も控除の対象にできる

なお、国民年金基金の掛金は、社会保険料控除の対象なので、本人分の掛金だけでなく、配偶者や親族分の掛金も所得控除の対象となります。

 

確定申告時に必要な手続きとは?

確定申告の際に、毎年11月に送付される「社会保険料控除証明書」を添付して所得控除申請を行う必要があります。

 

 

まとめ

国民年金基金の掛金の最低額は、選択した1口目の終身年金の型と加入時の年齢、性別によって決まります。

掛金の変更は可能で、2口目以降の口数を増やしたり(増口)減らしたり(減口)することはできますが、1口目を減額することはできません。

よって、1口目の保険料は60歳まで支払い続けることになる点には注意が必要です。

 

なお、2口目以降は終身年金A型B型および確定年金Ⅰ型Ⅱ型Ⅲ型Ⅳ型Ⅴ型の7種類の中から加入者が選択可能ですが、国民年金基金加入のメリットを活かすためには、可能な限り一生涯年金を受け取れる終身年金を選ぶべきでしょう。