公的年金等の雑所得扱いのメリットとは?
- 2017.06.29
- 個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ) 国民年金 国民年金基金 小規模企業共済 税金
国民年金の老齢基礎年金や国民年金基金等の年金などは、公的年金等の雑所得扱いとなり、税制上優遇されていますが、実際には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
公的年金等の雑所得の仕組みと、どのような所得が公的年金等の雑所得になるかについて解説します。
目次
1.公的年金等の雑所得とは?
年金は雑所得に該当し、所得税の課税対象になりますが、国民年金や厚生年金などの公的年金等は、年金収入から公的年金等控除を差引いて課税対象額を計算します。つまり、公的年金等の雑所得は「収入金額-公的年金等控除」となります。
尚、民間の保険会社が販売する個人年金保険の場合、雑所得の計算は原則通り「総収入金額-必要経費」となります。
参考:個人年金保険への加入前に押さえておくべき3つのデメリットとは?
2.公的年金等控除とは?
公的年金等控除とは、年金受給者のための所得控除です。65歳以上と65歳未満で控除額は異なります。
公的年金等の雑所得は下表のように計算します(公的年金等に係る雑所得以外の合計所得が1,000万円以下の場合)。
公的年金等の雑所得金額算出(65歳未満) | |
---|---|
公的年金等の収入金額合計 | 公的年金等所得金額 |
60万円未満 | 0円 |
60万円以上130万円未満 | 収入金額-60万円 |
130万円以上410万円未満 | 収入金額×75%-27万5千円 |
410万円以上770万円未満 | 収入金額×85%-68万5千円 |
770万円以上1,000万円未満 | 収入金額×95%-145万5千円 |
1,000万円以上 | 収入金額-195万5千円 |
公的年金等の雑所得金額算出(65歳未満) | |
---|---|
公的年金等の収入金額合計 | 公的年金等所得金額 |
110万円未満 | 0円 |
110万円以上330万円未満 | 収入金額-110万円 |
330万円以上410万円未満 | 収入金額×75%-27万5千円 |
410万円以上770万円未満 | 収入金額×85%-68万5千円 |
770万円以上1,000万円未満 | 収入金額×95%-145万5千円 |
1,000万円以上 | 収入金額-195万5千円 |
65歳未満の方は、年金額が60万円未満であれば、所得金額はゼロとなります。また、65歳以上の方は、年金額が110万円未満であれば、所得金額はゼロとなります。
「公的年金等の収入金額の合計額」が350万円の場合には、公的年金等に係る雑所得の金額は次のようになります。3,500,000円×75%-275,000円=2,350,000円
「公的年金等の収入金額の合計額」が320万円の場合には、公的年金等に係る雑所得の金額は次のようになります。3,200,000円-1,100,000円=2,100,000円
上記、公的年金の他に所得があれば、公的年金等の雑所得額と合算し、基礎控除や配偶者控除等を控除した後、所得税・住民税が課税されます。
3.公的年金等の雑所得となる年金等
個人開業医の方が受け取る年金等で公的年金等の雑所得となるのは、「国民年金の老齢基礎年金」、「国民年金基金の年金」、「小規模企業共済の分割共済金」、「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の老齢年金」です。
尚、国民年金の障害基礎年金や遺族基礎年金は全額非課税です。また、国民年金基金の遺族一時金、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)の障害給付金も全額非課税です。
確定拠出年金iDeCo(イデコ)の死亡一時金については、相続税の課税対象となります。
4.確定申告不要制度
公的年金等の収入金額が400万円以下かつ年金以外の所得金額が20万円以下の場合には確定申告は不要です。
但し、確定拠出年金iDeCo(イデコ)の老齢年金と小規模企業共済の分割共済金に関しては、年金額に関係なく、年金から所得税が源泉徴収されます。つまり、年金支払時に税金が差し引かれて(天引きされて)支払われます。また、国民年金基金に関しては、年金額によって所得税が源泉徴収されます。
源泉徴収された所得税額と、一年間の総所得に基づく所得税額とに差額がある場合には、確定申告により精算する必要があります。
尚、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除等により所得税の還付を受けるためにも、確定申告が必要となります。
まとめ
公的年金等は受取時に公的年金等控除があるというメリットがありますが、受け取る年金全額が無条件で非課税になるわけではありません。
よって、年金(分割)での受け取りと一括での受け取りを選択できる小規模企業共済や個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)については、一括もしくは年金(分割)のどちらで受け取る方が税制面等でよりメリットが大きいかを考慮する必要があります。
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