団体信用生命保険(団信)とは?|保険料や加入条件などの注意点

団体信用生命保険(団信)とは?|保険料や加入条件などの注意点

住宅ローンを組んでいる場合、団体信用生命保険(だんたいしんようせいめいほけん)について聞いたことがあるという方が多いと思います。しかし、自分は団体信用生命保険(通称:団信(だんしん))には加入しているが、実際には団信について詳しく分かっていないという方がほとんどではないでしょうか?

そこで、住宅ローンを組んでいる方が団体信用生命保険(団信)について疑問に感じる下記ポイントについて解説いたします。
・団信とはどのような保険なのか?
・団信はどのような場合に保障されるのか?
・団信への加入時も告知や医師の診査が必要か?
・団信で保障されないリスクはあるのか?
・団信は絶対に加入する必要があるのか?
・団信の保険料は生命保険料控除の対象か?


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目次

1.団体信用生命保険(団信)とは?

団体信用生命保険(団信)とは、保険契約者及び保険金受取人を金融機関、被保険者(保障の対象者)を住宅ローンの契約者とする住宅ローン専用の生命保険です。

住宅ローンの契約者が、ローンの返済中に死亡した場合や所定の高度障害状態になった場合に、生命保険会社から金融機関にローン残高と同額の保険金が支払われ、住宅ローンが完済される仕組みの保険です。

団信に加入していれば、住宅ローンの契約者がローンの返済中に万が一のことがあり、返済が困難になった場合でも、保険金でローンの残債が完済されます。よって、残された家族は、ローンの返済が不要となり、自宅を手放さずに住み続けることができます。

原則、住宅ローン契約時には、団体信用生命保険への加入が義務付けられていてます。特約が付いていない一般の団信の保険料については、住宅ローンの金利に含まれていて、金利の上乗せはありません。

 

 

2.団体信用生命保険(団信)への加入時も告知や医師の診査が必要か?


団信も生命保険の一種なので、加入時には健康状態の告知が必要となります。よって、持病などがあれば、団信に加入できない場合があります。

しかし、通常の団信よりも引受範囲を拡大したワイド団信もあります。ワイド団信であれば、健康上の理由で一般の団信に加入できなかった方でも住宅ローンが利用できる可能性があります。

例えば、高血圧症糖尿病肝機能障害など、今まで団信に加入できない持病がある方でもワイド団信であれば、加入できる可能性があります。

なお、ワイド団信を利用する場合は、ローン金利が0.3%程度上乗せになります。

 

 

3.団体信用生命保険(団信)も告知義務違反には注意


団信も一般の生命保険と同様に告知義務違反には注意が必要です。保険契約者や被保険者には健康状態等について、ありのままを告知する義務(告知義務)があります。

告知義務者が故意または重大な過失によって事実を告知しなかったり、事実と異なることを告知した場合、告知義務違反となります。告知義務違反と判断されると、保険契約が解除され、保険金が支払われない可能性があります。
参考:生命保険の告知義務違反は2年経過すれば大丈夫?(告知の重要性)

団信についても一般の生命保険と同様に、告知義務違反と判断されると、保険金が支払われない可能性がありますので、告知の際にはご注意ください。

 

 

4.団体信用生命保険(団信)はがんなどの三大疾病も保障されるのか?

一般的な団信は、契約者の方が死亡したり、高度障害状態になった場合に保障対象となります。しかし、団信の中には下記のようにがん脳卒中急性心筋梗塞なども保障する特約(疾病保障)付きのプランもあります。

 

・がん保障特約付き団信

死亡や所定の高度障害状態の他に、がん(悪性新生物)と診断されると、保険金で残りの住宅ローンが完済されます。

 

・三大疾病保障特約付き団信

死亡や所定の高度障害状態の他に、三大疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞)により住宅ローンの返済が困難になった場合、保険金で残りのローンが完済されます。

 

・八大疾病保障特約付き団信

死亡や所定の高度障害状態の他に、八大疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)により住宅ローンの返済が困難になった場合、保険金で残りのローンが完済されます。

 

上記の特約付団信については、保障の条件に注意が必要です。原則、がん(悪性新生物)は診断確定で、保険金の支払いとなりますが、その他の疾病については、「180日以上の継続入院」など、金融機関によって保障の条件が異なります。

また、特約付団信に加入する場合には、ローン金利が0.1%~0.4%程度上乗せされるのが一般的で、ほとんどの場合、途中で解約できない点についても注意が必要です。よって、途中で疾病の保障が不要になっても、住宅ローンを完済するまで上乗せ金利分を支払い続ける必要があります。

 

 

5.団体信用生命保険(団信)に加入せずに住宅ローンを組めるか?


原則は、団信への加入が住宅ローンを契約する際の条件となります。よって、団信に加入しなければ、住宅ローンを組むことはできません。

ただし、フラット35」は団信への加入が必須ではありません。健康状態などの理由で団信に加入できない方は「フラット35」の活用を検討されるといいでしょう。

しかし、住宅ローンへの保障は必要です。よって、持病のある方でも加入できる可能性のある引受条件緩和型の生命保険などを検討する方法もあります。

 

 

6.団体信用生命保険(団信)よりも収入保障保険(生命保険)への加入の方がお得?


上記の通り、団体信用生命保険の保険料は「ローンの金利に上乗せ」という形が一般的です。よって、年齢や健康状態に関係なく、ローン残高に応じて保険料が変わります。

一方、民間の生命保険は年齢や健康状態に応じて、保険料は大きく変わります。例えば、生命保険には、タバコを吸わない人の割引である「ノンスモーカー(非喫煙者)割引」や健康な人の割引である「健康優良体割引」などがあります。

よって、若くてタバコを吸わない方や、健康な方に関しては、団信に加入するよりも民間の生命保険(収入保障保険)を活用した方が保険料が安くなる可能性があります。フラット35などの団信への加入が任意の住宅ローンの場合は、民間の生命保険を活用する方法もあります。

ただし、収入保障保険は、団信のように残りのローンが完済されるわけではなく、原則、残されたご家族が毎月保険金を年金形式で受け取り、その保険金でローンを返済していく必要があります。団信のように万一の際には、ローンが完済されるという仕組みではない点には注意が必要です。

団信の代わりに民間の生命保険を活用する場合には、本当にそのプランがお得なのかを慎重に見極めることが重要です。

 

 

7.団体信用生命保険(団信)で保障されないリスクとは?

一般の団信は、死亡・高度障害状態の場合に保険金が支払われ、残りのローンが完済されます。また、特約をつけると、三大疾病や八大疾病で所定の状態に該当したときにも保険金が支払われ、残りのローンが完済されます。

しかし、三大疾病や八大疾病以外の病気やケガで就業不能状態が続いた場合のリスクは保障されません。三大疾病や八大疾病以外の病気やケガでも長期間働けなくなるリスクはありますので、そのような場合の保障は、ほとんどの団信にはありません。

就業不能となった場合、傷病手当金障害年金などの公的保障もありますが、健康な時に比べると、収入は減ります。また、個人事業主の場合、国民健康保険には傷病手当金はないので、病気やケガで働けない場合の公的保障はありません

そのような場合に活用できるのが、就業不能保険です。例えば、公的保障の上乗せとして住宅ローンの支払い分の保障を就業不能保険で準備するのも1つの方法です。

 

 

8.団体信用生命保険(団信)は生命保険料控除の対象外?


団信は生命保険料控除の対象外です。生命保険料控除は、「保険金受取人を自己または配偶者その他の親族とする、生命保険契約等」が対象ですが、団信は、契約者・保険金受取人が金融機関となっているので、生命保険料控除の対象にはなりません

よって、確定申告や年末調整時に所得から団信の保険料を控除することはできません。

 

 

9.団体信用生命保険(団信)への加入時は生命保険の見直しが必須?


団信に加入時には、生命保険の見直しをすることが重要です。賃貸住宅に住んでいる間に加入した生命保険は、住宅費の保障も含んでいます。団信に加入したことにより、住宅に関する保障は不要となるので、生命保険の保障を減らせる可能性があります。

団信加入時に生命保険を見直さないと、住宅費の保障が重複してしまうことになってしまいます。

 

 

まとめ


団体信用生命保険(団信)についてご理解いただけたでしょうか?団信検討時のポイントについてまとめると下記の通りとなります。

・一般の団信は死亡・高度障害時に残りのローンが完済される
・団信への加入の際にも告知が必要となる
・三大疾病や八大疾病などを保障する特約付きの団信もある
・ほとんどの団信は病気やケガで就業不能となった場合の保障はない
・団信の保険料は生命保険料控除の対象外
・団信加入時は生命保険の見直しタイミング

住宅ローン金利は日銀による金融緩和の影響で非常に低い状態です。よって、金融機関間の競争は、金利の引き下げから団信にどのような疾病保障を付けるかかという保障内容の勝負になっています。

金融機関によって、取り扱っている団信の特約(病気の保障)が異なりますので、ご自身にとって、どのような保障が必要かを考え、住宅ローンを組む金融機関を決めることが重要でしょう。

また、団信加入時は、生命保険見直しのタイミングです。本当に必要な保障内容となっているのかも確認し、ムダな保険料を削減して頂ければと思います。

・どのような保険を選んだらいいのかわからない
・今、加入している生命保険が、どのような保障内容になっているか確認してもらいたい
・見直し方をアドバイスして欲しいが、誰に相談していいか分からない など
保険の選び方や見直し方で悩まれている方は、保険のプロであるFP(ファイナンシャル・プランナー)による無料相談(大阪/兵庫/京都/奈良)をご利用ください。

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